変化の形/2022年8月

今、そこにあるヒント

変化の形

コロナ第7波おさまらず、久しぶりに予定されていたいくつかの
対面リアル研修がオンラインに変更になり、この状況が普通に
なっていくのかなと感じる2022年8月。早いものですね。

コロナ禍になってこの2年半あまり。その間の働き方や研修の
変化は何度も書いていますが、最近たくさん目にするようになって
きたのが、「メタバース」。仮想現実の中での新しい社会がすぐ
そこに広がっているような気配ですが、心配なのが次のパターン。

それが今のやり方をそのまま移植しようとしているケース。
例えば、銀座の街並みをそのまま再現して、デパートに入って、
商品を手に取って、、、とか。これやっても現実には勝てない。
それなら実際にそこに行けばいいこと。メタバースというネット空
だからできることが考えられていないのです。
メタバースなら、ある商品を手に取ったら、その産地に飛んで、
生産者と直接話ができるとか、製造工程を見ることができるとか、
そこで要望出して自分独自のオリジナルの製品が作れるとか、

それが変化の形。

それは他のことも同じですよね。
例えば働き方。リモート勤務になっても、基本が今までの働き方
やコミュニケーションの取り方、評価の仕方だったらうまく
いかなくて当たり前。新しい働き方にあった仕組みに作り直せる
かどうかが大事。
実は研修もそうなのです。対面のリアル研修とオンライン研修は
別物と考えて、プログラムを作成するとうまくいく。

これって、頭の中を柔軟に切り替える必要があるのですが、
今までの成功体験を持っている世代にはかなり厳しい。

ということで、新しいことを始めるには、若手をリーダーにして
進めていくことが成功の秘訣です。
社内に立ち上がったメタバースチームのリーダー、20代、30代ですか?

【今週の1冊】

「審判」
1914年 カフカ 著 池内紀/訳

ある日突然逮捕される、「K」そしてその罪は、、、。
「K」が何をしたのか最後まで明らかにされず、不思議な登場人物
増えていき、最後にはあっと驚く結末が。あまりにも不条理すぎて
最後夢オチは無いよね。と読み進めていきましたが、夢オチじゃなくて
それはよかったのですが、それはそれでなぜ?のまま。

この時代、やっぱり惹かれるんですよね。
1800年代後半から1900年代前半。世界が大きく変わっていく中で
もがいて何かが生まれている。その空気に触れたい。
タイムスリップできないかな。

伝統は革新

【今週の1冊】

「落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ」
2020年 頭木弘樹 著

知り合いで落語を始めた人がチラホラ出てきました。
今年初めのイベントは、談春独演会 でした。
一昨年くらいから落語を聞くようになりました。
そこでこの本に出会いました。

落語の成り立ち、歴史、構成、楽しみ方、
そして「耳の物語」と「目の物語」の違い。
さらに深い落語の楽しみ方が理解できて、
また色々聞いてみたくなりました。だけで終わらず、
この頭木弘樹。カフカの研究家でもあり、カフカの
小説と落語の共通点がそこかしこに!

先週「審判」を読んだ不思議な感じはこれだったのか。
がよくわかってちょっと感動。
落語のように朗読するとカフカの小説は違った味に
なるんでしょうね。すでに頭の中では噺家は審判を
語り始めています。
と、こんな出会い、つながりがあるから本を読むって
面白いんですよね。

【もう1冊】

日野自動車不正報告書
https://a11.hm-f.jp/cc.php?t=M239414&c=4&d=66a1
企業経営に関わる方だけでなく、全ての働く人に読んでほしい
「全文」の「第10章:従業員アンケート」の結果

未だにこのような組織があるということ、そして、調査委員会は
本気で会社をよくしようとしていることがわかります。

・「昭和の働き方が残っている」という表現が出てきますが、
昭和にもこんな働き方が普通な会社はそうそうなかった
・仮に、うちの会社も似たようなものだ。と感じる若手がいたら
その会社を改革することにエネルギーを注ぐのではなく、
すぐに逃げ出した方がいいですよ

「勝ちパターン」は「負けパターン」

世の中の変化で感じることの一つが、営業のやり方。
インターネットが普及してきたことでの変化を
コロナが一気に加速させました。
私が前職リクルートで営業をしていた30年前とは様変わりです。
当時は毎朝毎朝新規アポ取りと言って営業電話を
かけて、100件に1件くらいでやっとアポイントが取れてやっと
訪問しても断られの繰り返し。その時はアポ取りのトークや
会って欲しい人への手紙の書き方など、今では全く役に立たない
営業の勝ちパターンを学んでいました。

その後会社を立ち上げて、研修事業を立ち上げた時の新規取引の
勝ちパターンは、紹介セミナーの実施。
無料で研修の一部を体験いただくことで取引につなげるやり方。
これは効果がありました。今も取引が続いているクライアントも
たくさんあります。
それもコロナで終息。簡単にセミナーが実施できるようになって、
完全にレッドオーシャンになってしまいました。
そして、今は研修動画のオンデマンド視聴。これも結構効果あります。

そう、過去の勝ちパターンにこだわっていたら完全に負けています
今までのパターンの勝率、成約率が下がってきたらやることは
そのやり方を洗練させることではなく、新しいやり方を試して、
その道の先駆者になること。
その試行錯誤はノウハウになり、確実に先行者利益を得ることが
できるのです。そして、他者が追いついてきたら、次の新しいやり
を見つけていく。その繰り返しができるかどうかが勝ちパターン。

「今までのやり方では成約率が下がってきました。なので、こんな
やり方はどうでしょう」
と問いかけられたとき、
「前例はあるのか?ないならGOだ、やってみよう!」
ですね。

【今週の1冊】

「ワーニャ伯父さん」
1897年 チェーホフ 著 浦 雅春 訳

チェーホフ、初めてでした。やっぱりこの時代のロシア文学は
面白いですね。生々しく生きているよく深い人たちの心が
よく描かれているんですよね。
今、この瞬間にでもどこかの街で、誰かの家の中でこんな会話が
されていても不思議ではない。いつの時代も人の業は深い。

さて、このワーニャおじさんは、映画の「ドライブマイカー」
の中でとても重要な役割を担っています。映画の中での
「ワーニャ伯父さん」の舞台での西島秀俊、岡田将生のセリフが
蘇ってきます。
もう一度「ドライブマイカー」で村上春樹の世界に浸りたくなって
きました。

季節は巡る

今年の夏もそろそろ終わり。日が落ちるのも早くなってきて、
すでに秋の気配。季節は巡るのですね。
と、感傷に浸っているのですが、子供の頃(熊本時代)も8月は
まだまだ夏真っ盛り。10月まで30度超えですから住んでいる所
よって季節の感じ方は全く違うんですよね。
8月でもストーブが必要な日があったりする、北海道道東から
12月まで余裕で泳げる沖縄まで、実は日本は結構広い。

そんな今年の夏の出来事はエアコンの故障。
7月末にエアコンが壊れ、それから1ヶ月。やっと今週末に
交換工事の日程が調整できました!
この1ヶ月辛かったのですが、今の世の中の変化を体感できた
いい機会でした。

故障してもすぐに確認(現調)してくれない。現調で原因が
わかってもすぐに新しい物が手に入らない。さらに工事できる人が
いない、、、。当然金額も高い。半導体不足と需給バランスが
崩れるとこんな感じになるのね。

今までモノやサービスはすぐに手に入って当たり前。そして安くて
当たり前。そんな常識は、実は正常なことではなかったということ
シンガポールに赴任していた友人が言っていたことを思い出しました。
エアコン壊れたけど、すぐに交換してくれないから、しばらく
エアコン無しの生活をしていると。その話を聞いた時には
「ありえない!」と思ったのですが、それが世界標準なのです。

ということで、暑さのピークを超えた今週、やっとエアコンが
新しくなるので、とりあえず1日はガンガンクーラー効かせて
夏を感じたいので、あと1日くらい熱くなれ!

【今週の1冊】

「無罪」
1897年 ジョン・グリシャム 著 白石 朗 訳

本当にまだまだ読んでいない本。作家たくさんあります。
チェーホフもそうでしたが、ジョン・グリシャムも未読でした。
が、ジョン・グリシャム原作の映画は何本もみていました。
「ザ・ファーム」「ペリカン文書」「評決のとき」などなど
どうして原作読んでいなかったんだ!

と、まずは映画の影響を受けないために読んだこの本。
小説なのに挿絵というか写真が差し込まれていて、
イメージにあう写真を加工してあるのかと思っていたら、
なんとノンフィクション。

無罪の人物を、警察と検察がいとも簡単に有罪に、
そして陪審員が死刑の評決を下すことになるのか。
そんなストーリー。その中で最も戦慄を覚えたのが
この一文。
「貧しい人々や少数グループに属するなら、この種の
不当な扱いによる犠牲になることは珍しくないが、
ロン(冤罪から無罪になった主人公)は白人の街出身の
白人であり白人の警官たちに手荒くあつかわれ白人の
検察官に起訴され、白人の陪審から有罪の判決を下された」

闇は深い。

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