本物を味わう/2024年6月

今、そこにあるヒント

本物を味わう

新緑の季節。窓から見える緑が目にも優しく、心が穏やかになります。
季節の変化を感じるっていいですよね。
特に梅雨入り前のこの時期と残暑が終わってひんやりしてくる
秋の空気は最高です。
ということで、そんな天候に誘われて先日フラフラと出歩いていると
上野の東京国立博物館(トーハク)に吸い込まれていました。
久しぶりのトーハクはいいですね。仏像、陶磁器、刀剣に鎧、
そして土器に埴輪。初めてトーハクに行った時の「あ、教科書で見た!」
という感動を思い出します。
こうやって時々本物に触れるのはいいものです。
平日の昼間。外国人観光客と修学旅行の自由行動のグループらしき
子どもたちが多数。中高生の時にこんな場所に来れて羨ましい。
上野なんてすぐ近くなんだからもっと行かなきゃ。
何事もまず本物から味わう、本物に触れるって。とても重要なのですが、
なぜか初心者向けには簡便化したり難易度を下げたりしているもの
多いことも事実。そして、それが面白さを半減させて興味を失わせて
しまっていることが多いんですよね。
例えばスポーツ。最初にトップレベルの試合を見る(見せた)方が、
格段に興奮するし心踊る。例えば観劇。きちんとした劇場でプロの演出の
本公演を観た方がいい。
例えば食事。子ども向けに甘くしたりせずに苦くても辛くてもしょっぱくても
ホンモノを味わって、味覚を刺激した方がいいのです。
ということで。
「そうだ、トーハク行こう。(年パス買って)」

【今週の1冊】

「桐島、部活やめるってよ」
朝井リョウ 著
2010年 集英社

映画は2回見たかな。いや3回かも。
原作を読んでいなかったことに気づき今更ながらですが読んでみた

映像は原作がとてもよくアレンジされていて両方楽しめる。

朝井リョウは上手いよね。一癖も二癖もある登場人物が複数登場して、
誰かのどこかには共感できるし、共感できなくても身近な人と
結びつけていける。
人が好きなんだろうな。そしてどこか疑っているんだろうな。
ということで映画も原作もおすすめ。

スタバとタリーズ

実はコーヒー中毒なんです。
毎日朝食はコーヒーを淹れることから始まり、コーヒーをポットに
入れてワークラウンジに出勤。
ランチも当然コーヒー付きで、油断すると夜もコーヒー。
そのコーヒー豆は、タリーズで買っていたのですが、近所のタリーズが
どんどん閉店。気付いたらスタバだらけになっていました。
駅の構内のハンバーガーシップ、駅近のケーキ屋がスタバになり、
都内の新しくできるビルにはほぼスタバがあるし、
好きな本屋もスタバが併設されています。あっまたスタバ飲んでる。
って感じなのですが、豆はタリーズが好きなので買いに行こうと
探してみるとスタバはとってもいい立地に店舗があるのに
タリーズはちょっと奥まっていたり空中店舗だったり。
この差はなんでしょう?いつからこんなに差がついた?元から違う?
と気になってネットで検索しても答えはなかなか見つからない。
多分ちょっとした何かの違いなのでしょう。大きな戦略の違いが
あるのかもしれません。ということで知っている人がいたら教えてください。
今週の1冊はユニクロなんですが、スタバとユニクロは何か共通点が
あるかもしれません。ついつい行ってしまう、そしてリピートして
しまう秘密が。そんなことを気にしながら、今日もユニクロの服を着て、
タリーズを探してスタバ併設の本屋でドリップコーヒーをおかわりして
しまっている自分がいます。

【今週の1冊】

「ユニクロ」
杉本貴司 著
2024年 日本経済新聞社


あまりビジネス本は読まないのですが、面白いとの評判+とても身近な
企業なのでついつい。
毎日必ずユニクロは身に付けていますからね。油断すると全身ユニクロ。
 
店舗がロードサイドにあった時、フリースの爆発的なヒット、
ヒートテックの衝撃、社長交代と返り咲きなど、ユニクロのニュースは、
自然に耳に入ってきますよね。そんなユニクロを作った柳井正の話
ユニクロの成長を、一言で言うと「失敗の連続」に尽きることが
よくわかりました。高い理想を掲げあくなき挑戦を続けた結果が
今のユニクロ、これからのユニクロ。
まあ、近くにいるとついていくのは大変でしょうね。
「泳げないものは沈めばいい」という人ですから。
 
そういえば10年近く前に、五反田TOCのユニクロで柳井さんを見かけた
ことがありました。大名行列のような感じではなく、側近らしき人
数人で気軽な店舗視察の感じ。気づいた親子連れが声をかけていたのですが、
普通に会話をしていたのが印象的。もちろん全身ユニクロ。
まあ、ファンになりますよ。

古典よね

6月も半ばになり、一気に夏の空と雲。あー海に行きたい!
まだ梅雨入りもしていないというのに。
人前で誇れる体でもないのに、海が誘っている、なんてね。
そんなことを考えてしまう、1年で一番日が長い時期に
のんびりと今年半年を振り返って、これからのことを考えています

これからのことのヒントは古典にあり。と考えています。
キッカケはいくつかあります。久しぶりにトーハク行って、
これまでの日本の文化に触れたこと。王子にある紙の博物館で
和紙の歴史に触れたこと。とある人との研修について会話。
「オンライン研修とか手法は変化したけど研修の本質は変わらないよね」
その他にもいくつか、、、。

古典から学ぶって、そんなこととっくにわかってるよ。
という人も多いでしょうね。私は今更ながら気付きました。
研修とか学びのルーツをもう一度考えてみようかな。
余計なものを削ぎ落として、本質を見極め、それを磨いていく。
水は流れが澱むと腐敗するし、パソコンも使っているうちに
余計なデータが増えて重たくなる。人の体も頭の中も。

古典を学ぶことと、余分なものを捨てること。
セットでやってみようっと。

【今週の1冊】

「JUST KEEP BUYING」
ニック・マジューリ 著 児島修 訳
2023年 ダイヤモンド社

新NISAの勉強のために軽い気持ちでサラッと読むつもりが。
結構ずっしりと心に響いた良い本でした。
ただ儲けるだけの話じゃないし、収入のうち貯金は何割した方がい
とか、理想論を説くだけでもなく、今の自分の状況やこれからどうしたいかを
一緒に考えてくれている感じ。
問題は、日本語のタイトル。
「自動的に富が増え続けるお金と時間の法則」って、
確かにそうなんだけど、「JUST KEEP BUYING」のままで
いいじゃん。
映画のタイトルも変に和訳というか、説明しすぎて
なんかちょっと違うようになってしまう。
ジェフベゾスの「BLUE PRINT」も変な和訳のタイトルが
付いてたなあ。
出版不況ってこうゆうタイトル付けとか、表紙デザインにも
あるんじゃないかと。

時代を追わない、時代が追いつく

今年は例年よりずいぶん遅く梅雨入りしましたが、
一気に梅雨明けでもう夏?という感じですね。
すっかり夏の空に夏の雲。木陰が気持ちよく、
虫取りかごをぶら下げて、虫取り網を振り回す少年たち。
どうして子供って虫が好きなのかあ。

そんな自分の子供の頃と変わらない風景を見ながら、
時代の流れを考えていました。
今流行っているものって何?これから流行るものは?
なんて、つい流行を追いかけてみたくなるのですが、
時代を追って無理に流行らせようとしたものは一瞬で廃れ、
結局本物しか残っていかないのかなと思うのです。

例えば本。流行を追ったものは内容が薄いしコロロに響かない。
深く考察した書籍は5年経っても20年経っても色褪せないし、
古典、名作として残っていく。
やるべきことは目先のことに振り回されずに、自分が好きなこと、
やりたいことをやり続けること、深めていくことしかないのかなと
思うのです。
で、そこに時代が追いついて脚光が当たって流行ることもある。
音楽もファッション、そしてマネジメントもそうなのかなと。

これからも興味があること、ワクワクすることをやり続けようっと

【今週の1冊】

「龍は眠る」
宮部みゆき 著
1991年 新潮社

丁寧な取材力の裏付けがあるからなんでしょうね。
隙がないというか、深みがあるというか緻密。
それでも滲み出てくる隙間を感情が埋めていく。
30年以上前なんだけど全く古さを感じない。
スマホは登場しないし、インターネットもないんだけど
ストーリーはとても自然で無理がない。とても面白い。
技術は人の本質には何ら関係ないのかもね。

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