聞き分けが良くて素直でいい子/2023年4月

今、そこにあるヒント

失敗の数

年も新人研修のシーズンが始まりましたね。
何というのか、3月から4月の変わり目って世の中全てが
新しくリセットされてキラキラしていますよね。
日本も北から南まで、東から西まで実は結構広いのですが、
冬から春に季節が変わり、桜が咲き誇り、日差しが変わる。
学校の入学を9月に、なんて議論もあったりしますが、
季節の移り変わりを考えると4月から新年度は理にかなっている
ように思います。

そんな新人研修で伝えたいことはたくさんあるのですが、
その中の1つが、失敗の数を増やして欲しいということ。
これは新人だから失敗して当たり前。ではなく、自分が失敗する
耐性をつけることと、周囲の失敗に寛容になる。ということ。
そして、新人だからではなく、5年後も10年後も失敗できる人に
なることを目指して欲しいというメッセージ。

失敗することは何かにチャレンジした証なのだから、
経験を重ねるごとに失敗することは難しくなる。
なぜなら大抵のことはうまくこなすことができるように
なりますからね。だから失敗することが難しくなる。
そして失敗することが恥ずかしいと思うようになり、
無難に前例踏襲になってしまって、その結果周囲の失敗に
対しての許容度も低くなってしまい、チャレンジしない、できない
風土が出来上がる。
一度そんな状況になってしまっては、打ち破るのは難しい。

ということで、私も失敗し続ける人生送りますか。

週の1冊】

「満願」
2014年 米澤穂信 著 新潮社

ミステリーというのか、人の心の襞と死について
考えさせられる。一人ひとりの心の闇。その闇がほんの少し
漏れてしまうことがある。ちょっとした些細なことで、
あるいは日頃体験できないような状態に遭遇した時。
人って強いようで脆いもの。そんなことを考えさせられて
しみじみしてしまいました。

さあ、村上春樹の新刊の発売が13日に決まりました。
再来週には読破できているか!

同質の違和感

年の新人研修も中盤に入り、新人のエネルギーを浴びて
元気になっていく日この頃。若いエネルギーは羨ましい。
そんな新人研修で気をつけているのは、この勢いにブレーキ
かけないこと、どんどん能力を開花させること。
新入社員には計り知れない可能性に満ち溢れてますからね。

そんな中でふと目にした、JALの入社式の映像。
コロナ禍で厳しかった航空業界で久しぶりの新入社員の
ニュースは喜ばしいのですが、映像で出てくる姿にびっくり。
同じスーツに同じ靴、同じ髪型、同じ化粧、同じ笑顔。
昔懐かしい、MATRIXのエージェント・スミスを彷彿とさせる
クローン感。そのクローンを前に嬉々として語る経営幹部。

悪い冗談でしょ。どこかの独裁国家じゃないんだから。

ということで、新人研修では、社会人はこうあるべき
という変な思い込みを脱ぎ捨ててもらうしかないかなと。

週の1冊】

「銃・病原菌・鉄」
1997年 ジャレド・ダイアモンド著 倉骨彰訳
草思社文庫

「サピエンス全史」もそうですが、人類の歴史的なこういう本は
面白いですね。そうそうこうなるよね、という因果関係を確認
できたり、え、そうなの?という新たな発見があったり。
いつか時間ができたら、この本に書かれている10ページ分でも
自分で深く研究していきたいですね。
このような本は、すべて鵜呑みにしないで一つの説として
読むととても面白いものです。すべてを信じることはできないし、
だからといって懐疑的すぎてもつまらない。
ということで、この本の読み方をchatGPTに聞いてみました

「読者が批判的な思考力を持ちながら読むことをお勧めします」

冷静なchatGPT、素敵です。

聞き分けが良くて素直でいい子

新人研修に浸っているのもあと少し。
ということで、今年最後の新入社員ネタです。

新入社員の評価で、「人の話をよく聞いて、理解して素直でいい子
というのがあります。そして、新人研修では社会人の規律を教え
先輩の言うことを聞く。報連相をしっかり行う訓練をしたりする
のですが、それって、旧人が自分の思い通りに新人を使いたいだけ
そして結局誰かの許可を得ないと動けない指示待ち人間を作って
しまうのです。

新人が本当に主体性を発揮して、自分の意見を主張し始めたらどうなる
でしょう?そういう新人と聞き分けがよくで素直でいい子の新人。
どちらがいいですか?

もちろん、前者・・・では無いですよね。

聞き分けは悪いし、自己主張ばっかりして先輩の言うことは聞かない。
そんな人たちを育てたい。そう思っています。
先輩や上司の常識を覆す発想を持ち、行動できる新人。
そんな新人たちが力を発揮したら、と考えると楽しみで仕方ありません。

とっても大変ですけどね。

【今週の1冊】

「街とその不確かな壁」
2023年 村上春樹 著 新潮社

言わずもがな、村上春樹の新刊です。13日に発売。
ゆっくり味わいたかったのですが、一気読み。
それでも2日かけて味わいながら読みました。

今まで以上に村上春樹。

村上春樹を煮詰めて、その出汁を濾してもう一度煮詰めた感じ。
今までの長編は何かしらその時代を反映させた解釈がありましたが
この本は純粋に村上春樹。ということで、
これまでの長編をまた読み直さないといけないじゃ無いですか。

もちろんまずは、世界の終わりとハードボイルドワンダーランド

しばらく村上春樹の世界に逃避します。

判断する力

いよいよ4月も最終週。来週2日はGW中の平日ですが、
カレンダー的に5月1日2日は有給休暇奨励日になって
いる会社が多いだろうという推測でメルマガはお休み
することにします。ということで、4月最後はやっぱり
新人研修の話で締めくくろうかなと。
コロナ明けの今年は、対面での新人研修が戻ってきたので
なかなか印象深いんです。
ほとんどの研修はオンラインで十分効果はあるのですが、
社会人経験が浅い新人は可能な限り対面がいいですね。
このように目的と対象、求める効果に合わせて対面か
オンラインの使い分けがとても大事になっています。

さて、そんな新人研修の最後の話のテーマは、判断力。
私が新人研修でよく使う言葉が、「自分で決めて」
「自分たちで考えて」「相談しなくていいよ」。
油断してるとすぐに確認に来るし、聞きにくる。
その度に答えるのがさっきの言葉。
確認して許可を貰えば楽かもしれない。その通りやれば
怒られないかもしれない。確認しておけば自分で責任を
取らなくていいですからね。その状態を無くしたいのです。

私が新人研修でわかって伝えたいことは、自分で考えて
自分で判断するクセをつけること。だから自分で考えてもらう。
その習慣をつけてもらいたいのです。
許可を求めても答えてくれない。そんな経験から自分で
考えるようになっていく。本当に小さなことですが、
そこから始めることが大切なのかなと。

さあ、今日の新人には何を伝えよう!

【今週の1冊】

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
1985年. 村上春樹 著

先週の予告通り読みました。もう何度目でしょう。はい。
きっちりと読みました。そして新たな感動に包まれています。
ちょっと大袈裟?
というくらい、好きだなあ。この本は。
小説って、その時の自分を投影するから、ストーリーが
わかっていてもその時によって感じることが全く違う。
まさにそれを実感できた数日でした。
一つひとつのセリフが沁みるなあ。刺さるなあ。
という余韻に浸って、しばらく村上春樹からは卒業します。
次に出会うのは5年後、10年後かもしれないけれど、
新刊出たら真っ先に読むし、新刊読んだら他のも読みたく
なってしまうんだろうなあ。やれやれ。

 

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