発想を逆転してみる
世の中いろんなことが起こりますよね。 10月に入ってからの目まぐるしい
変化は、さすがVUCAの時代。 いやいやVUCAなんていつものこと。
先が見えた時代なんて1回もなかったって。 過去を見たら安定していたように
見えるだけ。 今この瞬間も1秒後に何が起こるか誰も予測できない。
ということで、 世の中で当たり前だと思われていることを発想を逆転させて
考える思考訓練はいかがでしょう。
たとえば少子化、日本の人口減少問題。 出生者数がどんどん少なくなってきて
今年の出生者数は66万人くらいになるだろうし、 来年2026年は丙午なので、
60万人を切る予測。 そうなると今後生産労働人口はどんどん減っていって
大変な状況になってしまう。さて、どうしたらいいのか! なのですが、
本当に少子化は問題なのでしょうか。少子化ではなく、 どんどん子供が増える=
人口が増え続ける状況になったらいいのでしょうか。
今、 AIによって必要が無くなる仕事がたくさんあるとも言われていま す。
これからも人口が増えていったら、 失業者が多数出てきてしまいます。
社会の安定と失業率は大きな関係にあるので、 社会の安定を考えると
AIの活用を遅らせて、 今ある仕事を守って雇用を守り続けなければいけないことに
なってします。 さらに仮に毎年10万人単位で出生者数が増えたら、 その雇用を生み出し
続ける必要が出てくる。果たしてそれは可能なのか。
さらに、これから人口が一気に増え始めたら、 その子供たちが働くようになるまでの
20年間は教育期間。労働力にはならないので、 その間は誰が支えるのか。など、
社会全体の仕組みを根本から考え直す必要が出てきます。 というようなことを考えて、
見ると今の少子化は問題ではなく、 産業構造を変える大きなチャンスとも言えますよね。
ですが、 子どもがたくさんいる社会はエネルギーに満ち溢れているから好き 。
公園があると意味もなくすぐに駆け出してケラケラ笑う子ども時代 に戻りたい!
【今週の1冊】
「北回帰線」 1934年 ヘンリー・ミラー 著
一体何を読んでいるのだろう、何を読まされているんだろう。
タイトルから勝手に想像していたのは、サン=テグジュペリの
飛行機野郎的な小説だったのですが。
これは小説なのか、日記なのか、ただの書き殴りなのか。 これは一体何?
小説を読むときは最初の数10ページは意識を集中してその世界に 入り込んで
楽しむようにしているのですが、それができない。 拒絶されている感じ半端ない。
アメリカ人がパリに渡り、奔放で自堕落な生活を送り。 という話で脈絡なく
ダラダラと続く。
絵画でも音楽でも時代の流れがあり、当時の権威や常識に反発して
新しいスタイルが生まれ、世の中に認められて定着していくことが
あるけれども、この小説は果たしてそういうものなのか。 訳がわからない。
けれども奇妙な高揚感に包まれる世界。
もう一度読んだ方がいいのか、もう読まないのか。
とにかくインパクトはあるし、 読んでよかった一生忘れられない本であることと、
ヘンリーミラーは変態であることはよくわかった。
今を基準に考えないということ
日本は衰退しているからAIや自動運転、 先端技術はもう世界に追いつかないから、
まだ日本が勝てるニッチな分野を見つけて、そこで勝負! なんてことが当たり前
のように言われたりしていますが、それは違うよ。と思うのです。
大リーグは、大谷や山本、 佐々木の活躍でドジャースが優勝しましたが、
30年前に野茂がメジャーに挑戦した時、 30年後にこんなことが現実になる
なんて誰が予想したでしょう。Jリーグ始まったとき、 ワールドカップ優勝
の可能性を誰が考えたでしょう。
1989年の中国天安門事件の時、 その後中国が経済的に発展して、
アメリカと方を並べるなんて想像もつかなかったはず。 日本ははるか遠くに
いたのです。
世界はいつどう変わるかわかりまぜん。 何がきっかけになるのか誰にも
予想できない。だから面白い、ワクワクするのです。
経済成長することがいいと思いませんが、 何事も諦める必要はないし、
今を基準に未来をトレースしても意味はないのです。
先のことはわからないけれど、 間違いなく明るく楽しく豊かな未来が待っている。
そいういうことなのですよ。
【今週の1冊】
「魍魎の匣(もうりょうのはこ)」 1999年 京極夏彦 著
「満月珈琲店の星詠み」2020年 望月麻衣 著
1ヶ月前と同じ二人の作家のペアリング。
全くタイプの異なる作家なのですが、私にとってはいい組合せ。
「魍魎の匣」は文庫本ながら1,000ページを超える長編。
3分冊に分けて欲しいボリューム。まさにフルコース。
「満月珈琲店の星詠み」はタイトル通りの食後のデザートと珈琲。
ということで、次はバーに行ってアルコールで締めて。
作家の発想と緻密な文章力にグイグイ引き込まれる1, 000ページ。
グロテスクなバラバラ殺人事件の物語を読んだ後で、 横浜山下公園の
胴体だけの死体が見つかった事件が。事実は小説より奇なり、、、 。
役に立つ、役に立たない
また好きな本屋が増えました。高輪ゲートウェイの「文喫( ぶんきつ)」。
普通の書店とはちょっと違う楽しさがあるのです。
図書館のように整然と分類されていなくて、書棚も円形だったり、
表紙が見える陳列が多かったり。 数時間ブラブラしても全然飽きない。
レコードが無くなりジャケットのデザインで選ぶ楽しさが無くなり
ましたが、本はまだまだ表紙のデザイン、署名のフォント、 もちろん
タイトルもそうですが、背表紙含めて総合芸術ですね。
そんな本好きですが、好きなジャンルは圧倒的に小説。
ビジネス書や自己啓発本はほぼ読まないのですが、 それはどうしてかなと
考えてみた結論が、「すぐに役立つ本は面白くない」 ワクワクしないんです。
良さげなことが書かれていると、
「そんなに簡単にはいかないよ」とか「まあ、 人や状況によって違うよね」
という天邪鬼さが出てきて全く楽しめないのです。
本を読むなんてただの趣味なので、 他の人に全く押し付けることはないので
ご安心を。
先日も同じような読み方が好きな本好きな人と京極夏彦で盛り上が って
いい時間を過ごせました。 ちなみにその人とも役に立つとか立たないとか
そういう関係ではないから楽しめる。
ということで、世の中役にたなない方が面白いよね。
【今週の1冊】
「鹿の王」 2014年 上橋菜穂子 著
かなり前に買って、少しだけ読んで積読してしまっていました。
最初の数ページを読んでファンタジーっぽい感じがして、
なぜかその時はその先を読む気になれず、、、。
上橋さんごめんなさい。とっても良い本でした。
書かれたのは2014年。コロナの流行の5年前。
鹿の話でも王の話でもなく、感染症、医学、人間の体の不思議が
詰まった物語。
本当に人間の体って不思議だしよくできていますよね。
脳梗塞を発症して今週でちょうど3年。 3年前の今頃はICUでした。
脳梗塞の原因は心臓。ということで1年半前には心臓の手術も。
脳と心臓の両方に不具合を抱えていても3年経って後遺症もなく、
飲酒習慣がほぼ無くなり、適度な運動と睡眠、そして食事に
気を付けるようになって脳梗塞発症より、多分間違いなく
健康体になっています。その治癒力に驚かされます。
そしてそれは人間だけでなく、あらゆる生き物が繋がっていると
考えると神様が創造したという神話も信じたくなりますね。
決してスピリチュアルにハマっているわけではないのでご安心を。
なんだか好きなもの、気になるもの、やってしまうこと
多様性の時代、 ダイバーシティが大事と言われるようになってきて、
逆に性別とか国籍とか逆に属性で括られてしまう危険性が高まって
しまうのではないかと気になっています。
ずっと研修を通していろんな人を見ていてわかっていることの
一つがみんなそれぞれ、「好きなもの、気になるもの、 やってしまうこと」
が随分違うということ。それは性別とか年齢とかでまとめることが
できないその人の個性そのもの。 そしてそれがその人の良さであり、
強さの源泉なのです。
ただ、自分自身はその特異性に気づいていないことが多いから
強みを十分に発揮できていないし、周囲もその良さを活用しきれて
いないのが勿体無い。
一人ひとりがそのままで十分に多様なのに、 そこに属性を持ち込んで
男だから女だからとか、Z世代は、、 おっさんはなどレッテルを貼って
しまうと輝くはずの個性にモヤがかかってしまうのですよ。
Will、Can、Mustとかじゃなくて、 なんだか好きなもの、つい気になって
しまうもの、やめろと言われてもやってしまうこと。 そこには大きな
エネルギーがあるんですよ。
そんな私の好きなことの一つは、知らない街をフラフラ歩くこと。
これが仕事に役立つかは分かりませんけどね。
【今週の1冊】
「冤罪」 1976年 藤沢周平 著
「蝉しぐれ」 1988年 藤沢周平 著
藤沢周平もちゃんと読んだことがなかったなかったのですが、 それは、
映画「蝉しぐれ」のせいなのですよ。 最初のシーンは印象深くて今でも
リアルに思い出せるのですが、それ以降がなんとも残念。
このままでは周平に申し訳ないので、短編の「冤罪」 で頭を慣らして
名作と名高い「蝉しぐれ」を続けて読んでみました。
なんと、 映画では大事な後半がバッサリと切られているではないですか。
登場人物のイメージも全く違う。周平ごめん。

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