大抵のことはすぐには役に立たない
今週から9月。今年も後半戦に入りましたね。
まだまだ暑い日が続きますが、稲刈りも始まり少しずつ
秋の気配が漂ってくる好きな季節。風が冷んやりして、
「あー、寒っ!」と思わず口に出る瞬間が好きなのです。
その時期はまだまだ先ですが、まー世の中大抵のことは
すぐに役に立たないものなのです。
9月になると来年4月の新入社員研修のプログラムを考え始める
のですが、新入社員にはどうしても社会に入ってすぐに役に立つ
ことを教えたくなるのも人情。受け入れる会社側が教えて欲しく
なるのもわかる。
なのですが、たった数日の集合研修でできるようになることなんて
誰でもすぐにできる簡単なことでしかなく、せっかく集合して
時間とお金をかけて行うべきことは、すぐには役に立たないけれど
大事なことを考えるきっかけを与えることなのです。
世の中の大抵のことはほとんどすぐに役に立たない。
いや、時間をかけても役には立たない。その役に立たないことに
時間を費やし、意識を向けて取り組んで心が動き、その結果の
積み重ねが人となりを作って、 そんな人が交わって何かが生まれる。
そんな壮大なドラマのスタートが4月の新入社員研修なので、
役に立たないことをやらせてくれる会社に感謝することができる
新社会人になって欲しいなと、 まだまだ暑い盛りに考えたりするのです。
【今週の1冊】
「梟の城」1959年 司馬遼太郎
司馬遼太郎の初期の作品。
「竜馬がゆく」が1962年から連載。「燃えよ剣」 が1694年。
「坂の上の雲」が1968年。
忍者小説のブームを巻き起こした小説だったことは知らなかった。
人相を変えたり、屋敷に忍び込んだりのシーンは、
映画の「ミッションインポッシブル」さながら。
映画かしたら面白いだろうなと思い調べたみたけれど、
映画の出来は散々だったようで、「ミッションインポッシブル」が
梟の城を映画化した結果だと考えた方が納得がいく。
だって忍者の話は、舞台が大阪でもベルリンでもドバイでも
置き換えられるからね。
ということで、 自分で想像できるから小説を読むってやっぱり面白い
学び直すということ
リスキリングということが最近あまり目にしなくなったような気が する
今日この頃。これから必要になる新しいスキル(技能) を簡単に習得する
ことができるなんて都合がいい話ないよね。 と思っていたのでさもありなん、
なんですが、いかがでしょう。
これからデジタルだ映像だ、AIだ。 とかいっても簡単に身に付くことが
できるものは付け焼き刃でしかない、 すぐにメッキが剥がれてしまうのですよ。
学び直すということは、表面を入れ替えるのではなく、 まず一旦深く潜ること。
今自分がやっていること身に付けていることの本質は何か、 核になるものは
何かを一回深く潜って探って、 わからなくてもいいからちょっと触れてみて
感触を確かめてから浮上する。ちょっと抽象的な話になったけど、 そんな感じ。
その感触を持って水面に上がって周りを見回すと、 次の新しいものが見つかる
はずなのです。そしてそれを握ったままでちょっと潜ってみる。
すぐに浮いてきたらそれは違う。 もう一度見回して違う何かを掴んで潜る。
その繰り返しで自分に合った新しい分野が見つかる。 そんなものなのです。
ということで、 今やっていることをまずは突き詰めることが先かな。
あ、深く潜らずに高く舞い上がって俯瞰してみるのもいいかも。
【今週の1冊】
「ケインとアベル」1979年 ジェフリー・アーチャー著
永井 淳 訳 新潮文庫
山崎豊子の「不毛地帯」と「華麗なる一族」を合わせたような、
そして池井戸潤の「アキラとあきら」的なストーリー。
小説としての面白さよりも、しっかり歴史を学び直さないと
今の世界情勢は理解できないんだなということを痛感させられまし た。
とにかく歴史は地続き、繋がっている。
まだまだ知らないことだらけ、学ぶことがたくさん。
そんなことを突き付けてくるから小説ってホントに面白い。
ハードルを下げる
このテーマ、ちょうど世界陸上のハードルをやっているからでは
ありません!「話す書く伝える」 研修をやっているからなのですよ。
実は、この「話す書く伝える」ということを苦手に感じている人が
とても多いのです。 普段何気なく友達や家族や仲間とはできているのに
仕事のシーンではとても苦手な人が増えてしまうのです。
それはなぜか。その答えは簡単。
めんどくさい人が多いから。「その言葉遣いがおかしい」「 もっと丁寧に!」
「漢字が間違ってる」「敬語がなっていない」 そんなことを二度三度言われたら
何か言ったらまた怒られると感じて、何も言えなくなってしまう。
ただ伝えたいだけなのに、 伝えた方が言ったのに怒られるくらいなら
黙っておこう。そう考えるのも無理はない。
なので、ちょっとした敬語の間違いや言い回しがおかしくても
ハードルを下げて大目に見てみませんかと。 自分の基準をほんの少し
下げてみるだけで周りの人はかなり楽になるのではないかと思うの です。
まずはハードルを下げて怒られる恐怖をなくして自由に語れるよう にする。
ちなみに陸上競技のハードルの高さは下げてはいけません。
その高さ、 間隔で練習を繰り返しているから数センチ変わっただけで、
リズムが変わってしまうからうまくいかなくなってしまうのです。
さて、 そうすると話すことのハードルを下げると全体的なレベルが下がっ て
しまうのではないかと思ってしまいますが、そうならないように、
レベルに合わせてハードルを上げていくのです。
ちなみに陸上競技のハードルは中高男女から一般男女と高さが代わ り、
競技のレベルが変わっていきます。
そう、この考えを話すレベルにも活用するのです。 新人には優しく、
そして途中からレベルを上げる。 そんな工夫で世の中ちょっと生きやすく。
【今週の1冊】
「刺青・秘密」 1910年から 谷崎潤一郎 著
新潮文庫の短編集。「刺青・秘密」の他5作。
なんともやはり谷崎潤一郎はいいです。 自由奔放でアングラで美しい。
この時代はまだもちろんテレビはなく、 映画も活動写真の時代だから
小説は娯楽の王道だっただろうことが想像できます。
新聞の連載だったら、 毎日多くの読者が楽しみにして読んだら語り合って。
もしかしたら、 その最後が日経新聞に連載されていた失楽園だったのかも。
失楽園の連載は1995年なのでもう30年前なのですね。
やっぱり小説って時代を反映してますね。 そのうち失楽園も読んでみよ。
オートパイロット・適当な習慣
人間は1日に最大35, 000回の決断をしているという説があるようで、
その決断にエネルギーを使うので、 エネルギーを大事な決断のために
日常のルーチンは決断しなくてい いようにルールを決めて
オートパイロット化した方がいいよ。という話を決めて
朝起きてから寝るまでの多くをルール化してみました。
それからしばらく経ってみると、 確かに楽になったような気がする。
うん、 重要な決断のためには確かにこれがいい。
さらに習慣化してくると、なぜか1日がつまらない、面白くない。
だってやることがほとんど決まって自動操縦されてると生きてる
感じがしないのですよ。
朝起きてやることが決まっていて何も考えずにお昼になって、
何食べるかも決めてあると、大きな決断のエネルギーは残って
いるかもしれないけどその意欲が湧かない。
ということで落ち着いたのが、適当な習慣。一応こうしようって
何となく決めてあるけどやってもいいけどやらなくてもいい。
それって体と心に従っていることをオートパイロット化する。
朝起きたら顔洗って、歯を磨きたくなるから何も考えずに
習慣化している。
着る服を選ぶのも食事を考えるのも、面倒だけど、それも自分の
リズムに従うだけ。
無理しないで自由が一番ですね。
【今週の1冊】
「日はまた昇る」1926年 ヘミングウェイ 著
完全に誤解していました。出兵した戦士のハードボイルドな物語
だと思って読み始めてしまいました。内容は、夏目漱石的な
高等遊民のどうでもいい話。何の役にも立たない。新しい知識を
あることも自己啓発にもならない。
だから小説は良いんだよね。男と女の飲んで楽しんで、
釣りして闘牛見て、、、なのですが、宴が終わって現実に戻る
最後の第三篇がたまらなくいい。
もちろん、教訓とは学びはないですよ。それがたまらなくいい。
ヘミングウェイっていい作家ですね。
コメント