多様な働き方、多様性とか/2025年10月

今、そこにあるヒント
西方寺@横浜市港北区

多様な働き方、多様性とか

週末、新しい自民党総裁決まりました。高市早苗さん。期待大ということで、
株式市場も大きく反応。この勢いで日本経済を復活させて欲しいところです。
で、高市さん。女性の自民党総裁ですが、決して女性を代表している訳ではない。
ですよね。女性も様々ですから女性の代表と言われても困ってしまうでしょう
で、これ多様な働き方や多様性も同じ。
みんなそれぞれ、女性とか男性とか、年代とか、国籍とかそれは属性であって、
その属性を代表している訳ではない。ちなみに私は60代の男性で熊本出身で東京に
住んでいますが、60代の代表ではないし、もちろん男性の意見を代弁できる訳は
ないし、熊本出身のマジョリティでもない。そのような属性を持っている
ただの一人の人間です。ですが、それぞれを大きな括りで見ると特徴が現れる。
60代と30代は生きている時代が違うし、男性と女性ももちろん違う。けれども
その人は特定の属性の代表ではないけれど数が集まる、つまりn数が増えると特徴が
現れる。だから多様性には数が必要なのです。
そして働き方も同じ。働く意欲目的も能力も役割も様々。なので、多様な働き方が
認められた方が多くの人は働きやすくなる。
そしてそれもただみんなバラバラではなく、何か属性を作ってまとめたら
その特徴が見えやすくなってお互い理解しやすくなるんじゃないかな。
例えば、これはあまり語られることがないのですが、仕事を理解して慣れるのが
遅い人の働き方。残業代が欲しいとか、長時間労働したくないのに、仕事を覚える
のに少し時間がかかる人。残業規制がきつくなると、教える方も時間の負荷がかかる
からこのような人の成長のチャンスを無くしてしまうんですよね。
多様な働き方や多様性を担保するにはこういうことも考えなきゃですね。
【今週の1冊】
「楽園のカンヴァス」 2014年 原田マハ 著
ちょっとショックを受けてしまいました。原田マハという作家、
名前は知っていましたが、触手が動かずなんとなく遠慮していました。
それが、なんということでしょう。こんなに面白いなんて!
出会うまでに随分回り道をしてしまいました。
ですが、このタイミングで読むことができて良かったのでしょう。
2年前には、アンリ・ルソーのことは知りませんでした。
アンリ・ルソーの独特な写実表現やピカソとの関係も。それを知らないで
読んでもここまで感銘は受けなかったでしょうね。
それが今は読んでいても目の前にアンリルソーのアトリエの風景が
浮かび上がり、ピカソとの会話もリアルに感じることができる。
どうしてこんなにもこの世界に入り込むことができるのか。
その答えは年代でした。1800年代後半から1900年代前半。
この時代のものに意識しなくても惹かれる自分がいる。不思議です。
ちなみにアインシュタインの奇跡の年も1905年。
生まれ変わることができるとしたら、私はこの時代一択ですね。
そうそう、アンリルソーの絵は日本の美術館にも点在しているから
ゆっくり鑑賞しに行きます。

24時間戦えますか!

昭和の時代の代名詞のようなこのフレーズ。昭和は長時間労働で
大変だったよね。ということで語られることが多いから、それが
歴史的な事実になる前に訂正しておかないといけません。
確かに残業時間規制もなく、より遅くまで働いてサービス残業も
多かったけど中身は随分緩かった。だってスマホはもちろんないし、
パソコンも部署に1台という時代だから、営業マンは一歩外に出たら
どこで何をしていてもわからない。朝礼済ませてオフィスを出たら
近くの喫茶店でダラダラおしゃべり。そこから一人ふたりとゆっくり
顧客先に訪問。夕方会社に戻って会議の後でみんなで夕食に行って
その後残業。会社の中でもタバコ休憩に給湯室で雑談。
そんな感じで今のように一人1台のスマホ、PCで監視されたりすることなく
のんびりやっていての24時間戦えますか。ですから。
本気で朝から夜遅くまでコンつめて働いてたらもっとバタバタ倒れているし、
疲弊していったはず。でも現実は夜の店は繁盛して、若者は飲んで騒いで、、。
なのですよ。
そんな時にバブル崩壊と共にITツールが一気に普及してゆとりのない社会に。
そんな時代の切り替わりの時に、長時間労働に加えてハラスメントが横行
したら壊れる人が増えるのは当たり前。「24時間戦えますか!」の時代にも
実はそんなに働いてなかったという記録を残しておかないと。
ということで、これからの働き方は時代環境や新しいビジネスツールを
前提に考えないと間違ってしまうよね。
【今週の1冊】
「姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)」 1998年 京極夏彦 著
「京都寺町三条のホームズ」 2015年 望月麻衣 著
2冊に関連はないです。多分作家同士も面識ないだろうし設定も違う。
ただ個人的に繋がりを感じたので一緒に取り上げました。
姑獲鳥の夏の舞台は、池袋近くの鬼子母神。京都寺町・・はその名の通り。
それぞれ若干土地勘があるので、その舞台に入り込めるのと、それぞれの
推理の背景に共感が持てて面白い。
「姑獲鳥の夏」は量子力学や民俗学、陰陽師。「京都寺町〜』は、
下鴨神社に葵祭、祇園祭。
日本って歴史も風土も思想も多様で面白い。もっと旅行に行かなきゃ!

未来予想図

未来のことは誰にもわからない。日々変化して混沌として不確実。
そんな現代を「VUCAの時代」とは思いません。だって未来のことが
わかっていた時代なんて過去一度もなかったのですから。未来人が
タイムスリップしてこない限り。
確実に言えることは、今の状態が未来永劫続くことはないということ。
30年続いていても50年続いていてもこれから10年同じである保証はない。
明日変わるかもしれないのはいつの時代も同じ。ただ、何かしら僅かな
予兆がある場合もある。その予兆を読めるかどうか。そしてその予兆を
信じて行動できるかどうか。これってとても難しいことですよね。
できることは変わった新しい世界に自分を調整することができるかどうか。
人間という生き物は、その調整能力が著しく高いのではないかと思います。
さて、そんな一般論は置いといて、自分の未来はどうなんだろうと考えて
未来予想図を作って対策しておくことは無駄なことではありません
いくつかのシナリオを想定して準備したり、準備しなくても心積りが
できていれば、周囲の環境がどんなに大きな変化が起こっても対応できる
可能性が高くなりますよね。
私の場合は、未来予想図を作って未来予測=これから先の歩むべきレール
が見えてしまうと一気につまらなくなり、そのレールに乗らない選択を
してしまうんですよ。だって、将来のことが見えた人生はつまらないもの。
【今週の1冊】
「八日目の蝉」 2007年 角田光代
「森に眠る魚」 2008年 角田光代
心理描写と人間関係の描き方が緻密です。吸い込まれます。
ママ友の駆け引き怖いなあ。そんな単純なことじゃなく、悪気はない
けれど何気ない一言や仕草で行き違いが生まれ、少しづつすれ違って
修復することが難しくなる。そのすれ違いの根底にあるのが、同じ
ママ友だから状況も同じだしわかり合えるよね。私のこともわかって
くれるよね。という思い込みだったり押し付け。
そういう描写が素晴らしい。小説を書くって魂削るよね。って思う
のがそういうこと。自分の実体験や感覚を赤裸々に出していかないと
書けないから。
この2冊、映画化とドラマ化されていて、見たことあったなという記憶。
調べてみたら「八日目の蝉」は2011年に映画化。名作です。
「森に眠る魚」はそっくりのテレビドラマがあったのですが、原作かと
思いきや脚本家のオリジナル作品とのこと。なんだかなあ。ほぼパクリ。
さて、この2作も馴染みのある場所が随所に出てくるので、それもいい。
小金井公園までタクシー乗って、神楽坂でバイトして、護国寺あたりの
マンション。などなど、休みの日に巡ってみよって。

世界は彩りに溢れている

季節の変わり目に体調が悪くなるのはいつものこと。
今年も少し風邪をひいてしまいました。熱が出ることもなく、
ダウンする程ではないのですが、今回は治った瞬間を感じる
という貴重な経験をすることができました。
その瞬間、周囲が彩りに溢れ出したんですよ。その彩は匂い。
部屋のドアを開けた瞬間、部屋中に匂いが充満していて、
その匂いがさまざまな色彩を持っている感じを全身に浴びる。
違う部屋のドアを開けるとまた新たな香りの世界が広がり、
ベランダに出ると自然の匂いが身体中を包み込む。
コロナに罹患した時に辛さはそれでした。匂いを感じない。
匂いを感じないと味がわからない。同時に世の中の色が
消えてしまったような絶望。
嗅覚って人間が持っている最高の感覚かもね。
そしてそれはAIには永久に持つことができない人間だけが持つ高み。
なんてことはどうでもよくて、金木犀の季節に匂いが戻ってきてよかった。
【今週の1冊】
「ツ、イ、ラ、ク」 2007年 姫野カオルコ
先週の角田光代、先々週の望月麻衣、原田マハと女性作家の本を
続けて読んでいます。それぞれジャンルは異なるのですが、感情移入
しながら辛さを共感しつつハマってしまっています。
さて、このツイラク。小学2年生から30半ばまでの主人公を軸に
描かれているのですが、その中でも中高時代のシーンが大半を占めて
いて、つい自分自身のことと重ねてしまう。
こんなに真剣に物事を考えていたっけ、誰かとぶつかり合ったっけ。
人が人として形作られるのは、この時代なんだろうな。
心も体も成長、変化していてふにゃふにゃで繊細で傷つきやすく
同時に鋭く傷つけまくる。いろんなことを思い出してしまいます。

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