本当は怖い数値目標/2025年6月

今、そこにあるヒント
@熱海

本当は怖い数値目標

KPIやKGI、定数目標ってわかりやすいし、なんとなく
公平な感じがして、他社や他者と比較しやすいから設定
しやすいですよね。
例えば、内定辞退率や有給休暇取得率、男性育休取得率。
率で語る時には総数を見ろ!なので、率と総数見ないと
その数値が何を物語っているかわからないはずなのに、
一旦数値が出てしまうと、それが目標、ゴールになってしまうから
怖い、怖い。数字に支配されてしまうのです。
そうならないためにはどうしたらいいか。
それは、仮説を立てる力を養うこと。
数値はある事象の結果であって、原因ではないのです。
仮説を立てる力があると、なぜこうなったんだろう。
今何が起こっているんだろう。と考えることができ、
それを考えることで、対策を考えることができるし、
そもそも「なぜこのKPIを設定したのか」という意図に
立ち返れることができるんですよね。
で、もっと大事なことは、
「そもそもこのKPIっておかしくないですか?」と言える環境づくりかな
そんな環境、一緒に作っていかない?
【今週の1冊】
 
「女の一生」
1883年  モーパッサン 著 
    新庄嘉章 訳 新潮文庫
 
主人公ジャンヌの生き様を描いた物語、、と思えずに
原題を確認したら「Une vie」。女でも男でもなく「人生」。
たまたまジャンヌを中心に物語が展開しているだけでなく、
登場人物全ての人生を描き切った秀作。ジュリアンの一生でもあり
ロザリの一生であるし、これから始まる孫娘の一生の始まりの話。
 
出版は約150年前、物語の背景はさらに古いので200年前の
フランスの貴族の物語であるにも関わらず、人に生き方、
生き様、倫理観、価値観は今と何ら変わらない。
人ってなんて愚かで愛おしい生き物なんでしょう。
いつの時代も、世の中って人が思うほどいいものでも悪いものもないよね。

居心地がいい職場の罠

5月から梅雨だったのかずっとじとじとスッキリしない天気が
続きますね。低気圧に弱い体質なのですが、そこは睡眠で解消。
本格的な暑さが来る前の適度な湿気は快眠の時期ですね。
ぐっすり睡眠気持ちいい。
で、夢のような出来事に期待していたのですが、
夢の実現がまた遠ざかった月面着陸。月っていつ見ても不思議
ですよね。空にぽっかり浮かんでいて、とても明るく輝く時もいいし、
ぼんやりと薄明かりもなお良し。川面にゆらめいている姿に
心もゆらめく。
そんな月に行こうとする会社では、今回の失敗も前向きに捉えて
いるんでしょうね。今回2回目のチャレンジだったから、無茶苦茶
悔しかったと思うけど、成功する可能性が低いことに取り組む仕事
なんてやってられないという人からしたら、居心地悪くてしょうがないよね。
とても安心安全なんて言ってられないですから。
そう、居心地がいいとか快適とかいい職場って人によって大きく違う。
働き方も同じ。みんな違うのに最近はブラック企業はダメ、ホワイト企業で
なくちゃ。と抽象的な言葉で遊んでいる。
人によってブラックって違うよね。ハラスメントとか人権侵害は
もちろん絶対ダメだけど、仕事の負荷や難易度、残業の有無や休日出勤など
人によって受け止め方や求めている=心地よさは違うから。
うちの会社、職場はいい職場ですよ!ではなく、
こんな働き方ができる人を求めますよ。と明確に発信宣言することが
必要なんですよ。それでも合わない人が出てくる人はいるから、
そんな時はシャッフル。特に新卒はしばらく働いてみないと
何が自分に合ってるかわからないからね。
ちなみに私が譲れない働き方は・・・秘密です。
【今週の1冊】
「流れる」
1955年  幸田文 著 新潮社
「父・こんなこと」
1956年  幸田文 著 新潮社
 
幸田文を続けて2冊。父、幸田露伴といわゆるファザコン的な
人生を感じつつも、なんとも流れるような美しい文章。
名前の通り「文」に相応しい空気感。
なんとも言えない風情や人の在り方が愛おしい。
人って悪でも正義でも、自分勝手でもないけれども自分が可愛い。
容姿も経済状況もさまざまなものが異なっていても、
いや、異なっているからそれぞれが織りなす人間模様には彩がある
とてもいい時間を過ごすことができました。

ダイバーシティの本質

関東も梅雨入りしてるのかな。
そんなスッキリしない天気が続く時でも雨の降り始めの匂いが好き
地面の埃がふわっと巻き上がって、空気が綺麗になっていく感じ。
で、ここ数年の研修テーマで増えているのが、
メンタルヘルス、ハラスメント、コンプライアンス。
疲れてるなあ、混沌としてるなあ、なんとかしなきゃねという
カテゴリーで、それを包括するようなダイバーシティ研修。
(最近はDEIっていってるけど)
そのDEIは欧米由来というかアメリカ発祥だからそれをちゃんと
日本の企業向けにアレンジしないとなかなか浸透しないのですよ。
アメリカのDEIをそのまま持ってくるから、なぜか宗教とかLGBTQ
のダイバーシティになってしまっているけれど、日本企業で必要な
ダイバーシティは、一人ひとりの生活の変化に伴うダイバーシティを
お互いに理解して支え合って、協力すること。
独身、既婚、子どもの有無(年齢も)、親の介護や子どもの病気、
シングルマザー、シングルファザー、自分の転勤、パートナーの転勤、
リモート勤務ができるかできないかなどなど、一人ひとりの
生活の仕方や働き方が変わってきていることにどう対応するか。
そんな本質的なダイバーシティ研修始めます。
【今週の1冊】
「悲しみよこんにちは」
1954年  フランソワーズ・サガン 著
    河野 万真理子 訳 新潮文庫
「ブラームスはお好き」
1959年  フランソワーズ・サガン 著
    朝吹 登水子 訳 新潮文庫
先週の幸田文の2冊とほぼ同時期の2冊。同時代の日本とフランス
なんと違うことか。南仏の明るい日差しの中での自由で奔放、
もちろんそれだけでなく倫理的でもあり厳格な生き方のフランス。
一言で表すと自由なフランス。
一気読みはその世界に浸れるから面白いですね。
ここの窓からの景色が隅田川になったりセーヌ川になったり、
コート・ダジュールの海岸になるんだから。
で、もっと面白いのは日本とフランスの違いではなく、
心の動き、駆け引き、感情のもつれなどのあれやこれやは
そんなに違いはないということ。
いつの時代でもどんな環境でも人が人として感情豊かに
暮らせる社会が一番いいということ。そんな世界が続きますように

空間の余裕

街歩きが好き。知らない普通の街を目的もなく、ぷらぷら歩くことが。
突然妙な自己開示から始まりましたが、普通の住宅地ってそこで生活
している人たちの呼吸や姿や佇まいを感じることができるから
とても面白いんですよね。
一つ道路を隔てただけでも街の雰囲気は変わるし、小さな川でも
橋を渡ると景色が一変する。
歩いていて気づくのはどんな街でも公園があるとホッとするし、
空気が落ち着くことが多いのは、緑のせいなのか空間のおかげなのか、
街には何もないスペースが必要なんでしょうね。
ヨーロッパの旧市街は、多くの場合広場があってその広場を中心に
成り立っているのも車ではなく、自分の足で歩くことを基本に設計
されているんでしょうね。
ということで、都心の再開発には大きな公園が必要で、その公園に
特色を持たせることが街のアイデンティティになっていくんじゃないかな。
高層ビルだらけの渋谷に魅力がなくなり、人工的な小さな空間しかない
汐留から人がいなくなりましたが、公園を整備した上野に活気が戻って
きています。
これから大規模な再開発が進む新宿と品川には今からでも遅くないから
梅田のような大きな公園を作ってくれないかな。そしてその大きな公園を
グリーンベルトで繋いでいく。いい感じじゃないですか?
【今週の1冊】 
「悪魔のパス天使のゴール」
2002年  村上龍 著 幻冬舎文庫
サッカーの日本人プレーヤーがイタリアリーグのセリアAで
活躍する話で、そこに薬物が関係するミステリー。
というか、サッカーの実況中継です。これは。
 
中田英寿との出会いがきっかけの小説らしいのですが、
流石の作家の力量で、言葉だけで試合の流れが浮かび上がってくる
ことがすごい。全体の3分の1、もしかすると半分はサッカーの
実況小説です
今の日本代表は史上最高に強いけれど、1993年のJリーグ元年から
約10年後にはこんな小説が書けるくらいのスーパースターが生まれ、
それから20数年後の今は、世界有数のサッカー強国になっている
のは本当に感慨深い。
と、ここで終わろうと思ったのですが、クラブワールドカップに出場した
浦和レッズが、そのセリエAの競合インテルと互角の試合をし、
さらにレッズサポーターが素晴らしさが南米でも賞賛されている
ニュースが舞い込んできました!これはマジで心躍ります。

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