何でもかんでもじゃなくて
怒涛の新入社員研修と乗り切り、ゴールデンウィークも終わり、
ホッと一息。という感じで疲れも出てきて、新人は5月病に
なっちゃうんだろうな。頑張れ新人!
そんな5月以降は、研修の対象も階層、年齢が上がって
リーダーやマネジャークラスの研修が増えてきます。
いわゆる定番の階層別研修ですが、その中で最近特に気をつけて
いることが、できるだけテーマを絞ること。
そうしないと、あれもこれも求めてしまってスーパーマンの育成講
なってしまう。なんでもできる万能な人はいないし、
実はそもそも誰も万能な人は求めていない。ということで、
最初にテーマを絞る、必要ないことを削ぎ落とすことができたら
研修の半分は成功しているのです。
これは、研修に限ったことではなく、いろんなところも同じ。
レストランを考えたらすぐわかります。
蕎麦屋、鰻屋、焼肉、寿司、、、。それぞれ専門店があり、
全て揃って全部美味しい店はどこにも無い。
マネジメントも一人の人間に全てを求めるのではなく、
強みを見つけて伸ばしていく。そんな組織が強い。
さあ、今日は何食べよ。
【今週の1冊】
「NEO HUMAN 究極の自由を得る未来」
2021年 ピーター・スコット・モーガン 著
藤田美菜子 訳 東洋経済新報社
「ルールなんてぶっ壊せ!いまとは違う自分になりたいと
闘うすべての人へ」という帯に惹かれて分厚い1冊を買って
しまいましたが、鼻持ちならない特権意識を持ったゲイの
コンサルタントがASLを発症し、自らの体を実験台にサイボーグ
チャレンジしていく物語。
人類の進化というか、人類はこれからどこに向かっていくのか、
生きるってどういうことかは考えさせられるが、それは病気に
ならなくても誰でも同じ。
チャレンジは凄いけれども性格が悪い人には共感できないことも実
ということで、口直しにもう一冊
「ぼくたちはみんな大人になれなかった」
2018年 燃え殻 著 新潮文庫
いいなあ。とってもいい。この世界観。
こんな経験していないのに、同じ時代には生きてきたから
ここに描かれている空気に包まれていた。
若かった。何も考えていなかった。けど真剣に生きてきた。
そして、今ここにいる。
いい。とってもいい。
経験に勝るものは無し
人生60年、早いものです。こないだ社会人になったような気がす
(新人研修では、自分の新人時代を鮮明に思い出します)
それでも現実を見ると周囲には定年退職を迎えた人が増えてきてい
時間の流れのはやさに驚き、時の過ぎゆくままにこの身を任せてき
過去を思い出し、、、。なんて。
やっぱり人生の積み重ねって、経験の蓄積ですよね。
その時できることをしっかりやってきたか。どこで誰と何を見て
何を語り、味わってきたのか。
ということで、いくつになっても経験していくことなんですよね。
これからの5年は全員にとって等しい5年。
20歳から25歳、25歳から30歳の5年。結構濃かった気がす
だから55歳から60歳も同じく濃い5年を過ごすことができるの
いくつになっても新しい経験していきましょ
【今週の1冊】
「三体」
劉慈欣 著 大森望 光吉さくら ワンチャイ翻訳
立原透耶 監修
2019年 早川書房
壮大なスケールのSF作品。こういう本に出会えるからたまらない
毎週本を読むことをルールにしている、そしてここに書くことを
自分に課しているから面白そうな本の情報が自然と入ってくる。
そして出会えるこんな1冊。
ゴールデンウィークはこの三体に浸っていました。
新しい分野の本を読む時は、頭の中を整えるところから始まります
その本の世界観、情景、登場人物。その理解から始まって頭の中が
その世界に置き換わる。それが完了すると物語が自然に動き出す、
登場人物が喋り出す。うーん、読書の醍醐味。
文化大革命の中国に始まり、太陽系を飛び出し、ゲームの世界に
入り込み、そして、、、。痺れます。
ということで、「三体」とは何か。是非、読んでみてください。
で、映像化したらどうなるのかを想像するのも楽しい。
今年中にNetflixで映像化される情報もあるので、その前に
三体の世界をもっと鮮明にしておかなきゃ。
概念の世界に遊ぶ
ChatGPTって本当に面白いですね。
どんなことでも答えてくれるし、結構も冗談も通じて会話もできる
本当にいい話し相手。ということで、AIによって仕事がどんどん
という話を最近目にすることが増えてきたのですが、それは違う。
そうならない。だって人は肉体を持っているから。
AIには風や温度、湿度を感じることができないし、味もわからな
この体があるから人はどこまでも、いくらでも新しいことを創造す
ことができる。五感で感じたことをきっかけに、概念の世界で遊ぶ
ができる。
旅行需要が戻ってきました。
どこかに行きたい。新しいものを見たい、感じたい、味わいたい。
それは感動でも失望でも、暑くても寒くても、気持ち良くても不快
そこに何があるかわからない。それでも感じてしまうことの喜びが
この世界にAIはまだまだたどりつけないでしょうね。
10年後にはどうなっているかわからないけれど。
感じる体を持っているからこそ、概念の世界で遊ぶことができるの
考えるって本当に面白い。
【今週の1冊】
「雲をつかむ話」
2012年 多和田葉子 著 講談社
たくさん犯人が出てくる。その犯人たちと実に不思議な、
けれども自然な出会い方。そして、少し惹かれるけれども
距離が縮まることはない。
昔、このアパートには犯人が住んでいる。この店には犯人が
出入りしている。なんてことを考えて遊んでいたことがあった
けれども、それが小説になっているなんて。この舞台はドイツ。
ドイツに犯人が住んでいるって妄想したことはなかったなあ。
久しぶりに妄想の世界で遊んでみようかな。
個人ではなく組織の問題
「脳外科医竹田くん」と言うマンガが評判になっている。
と言う噂を聞いて読んでみました。脳外科医という言葉には
逆らえません。
調べてみると、ほぼ実話であり今もどこかで勤務している
らしい、、、。怖いことです。
さらに、怖いのはそのコメント。多くのコメントが竹田くんだけを
非難するコメントなのです。
イヤ、これは竹田くん個人ではなく、組織の問題でしょ。
個人の特性はバラバラ。いろんな人がいる。不適格な人も。
だからそんな時に自浄作用を働かせることができる組織で
あるかどうかを問題にしないと。
竹田くんが在籍していた病院は、竹田くんひとりの問題ではなく、
院長や他の医師、看護師が全員自分の問題だと捉えないと
同じことが起こってしまいます。
言うべきことを言う。言うべき時に言う。
知ってて黙っていたらそれは同罪。なのです。
【今週の1冊】
「照柿」
2006年 高村薫 著 講談社
暑い。濃い。べっとり。
最初から最後までまとわりついてくる。
羽村の工場、大阪の気だるさ。会話の粘り気。
なんという空気感。こんなにも体感で感じる小説は
なかったかも。
解説もいい。高村薫はドストエフスキーである。
そう、そう。ラスコーリニコフだしアンナカレーニナだよ。
世の中にはまだまだ読まなきゃいけない小説がたくさんある。
その世界を自分で感じるために、行かなきゃいけないところが
たくさんある。
そろそろ梅雨入り。じっとり湿った世界を感じる小説を探そうかな
追加でもう一冊
「カモメになったペンギン」
2007年 ジョン・P・コッター 著
藤原和博 訳 ダイヤモンド社
研修の課題図書になるかもと思って読んだのですが、いまひとつ・
こういう教訓めいた話は何の役にも立たない。
あとがきの訳者も薄っぺらくて、、、。
何度も何度も失敗していますが、こういう本(自己啓発本的なもの
は時間の無駄ですね。
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